アルファ碁のように打つ ◆思考エッセンス⑥
これまでお話ししました『アルファ碁の思考エッセンス』を使って、私の公式戦でどう打ったかをご覧いただきましょう。
必ずしも良い手とは思っていないのですが、そこからおもしろい展開になったのは実感しています。
1図は黒△にカカったところで白番です。
これまでの私の価値観では白イか白ロを第一候補として考えていました。
しかしこの局面で『空間』に意識を向けると、中央に広い空間が見えてきます。
そして次に打つ手は、その空間に影響する手をアルファ碁は選ぶかなと考えて2図のように打ちました。
2図の白1は、プロの価値観ではありえない手です。
理由としては、右下の黒がガチガチに固いので、こんな響かないところに打っても良くないというのが普通の感覚です。
しかし『空間』に意識を向けてみると、白1に打つことで左下の白の厚みと右辺の白の厚みが連携して急に中央の空間が白のものに見えてきます。
更には次に白イと打つことで下辺に白の空間が増えます。
また、白1を打たない場合は、黒ロで中央空間が全てなくなりそう。
つまり、白1は黒からも白からも影響範囲が非常に広い一手です。
ただそれだけの理由で私は、恐らく悪手だろうと思いながら、白1を打ってみました。
するとこの後の進行で見る限り、意外にも成立していることにとてもおもしろさを感じました。
3図の黒2と中央を消しにこられました。
そして中央空間に影響させる手が白3で(これもアルファ碁的考え方です)
勢いで白13までとなります。
白3からこの一連の読みの時、4図が見えたので白が悪いと考えていました。
4図の黒1が手筋で、白6まで白はシボられて相当ひどい形です。
しかしこれが『石視点』の考え方で、それとはまったく関係がない『空間視点』で考えると、意識は中央の『空間』に向かいます。
白10で白も打てるのではないか?
仮に黒11から相場で進行した時、白16から左辺の黒を睨んで白18まで。
白△からの一連の進め方が意外にも成立しているように感じました。
これは白△以外のどの進行よりも良いような気がしました。
このように、
・アルファ碁ならどう打つかな?
・『空間視点』で打つとどう考えるのが良いかな?
などと考えていくと、これまでの自分にはない価値観で囲碁を打つことができます。
それが成立していることが、実におもしろい(笑)
皆さんもこの思考エッセンスを使って自分の碁に革命を起こしてみてはいかがでしょうか?
これに味をしめた私は、パンダネットの『勝間教室』の受講生の皆さんに、『アルファ碁の次の一手』と題して、アルファ碁の思考エッセンスを身に付けながら囲碁を楽しんでいただく企画も実施しています。
アルファ碁の技術は、人類にどう生かされるか?
これも1つの使い方なのかなと思っています。
そして楽しい囲碁ライフを。
少し特別な、あなただけの囲碁ライフをお送りください。
当コーナーをご覧いただきありがとうございました。
関西棋院 棋士 七段 勝間 史朗
1図
2図
3図
4図