石の影響範囲とは? ◆思考エッセンス③
石の影響範囲とはどういうことなのか?
1図をご覧ください。
白番ですが、上辺の黒模様と下辺の白の勢力圏が気になります。
この全体の状況を踏まえた上で、白の次の一手はその影響範囲が最も広くなるところを選びます。
2図の白1が影響範囲が広くなる位置です。
白1は青い線に向かって黒模様を消しているのがお分かりいただけると思います。
同時に、緑の線に向かって下辺の白の勢力圏を拡大する一手にもなっています。
この局面、我々人間なら左辺を3図のように打つのではないでしょうか?
3図の白1が普通の手ですが、2図の白1との違いは、黒模様に対して遠いため、影響力が弱い点です。
青い線の影響が弱いので、黒模様をあまり消せていないため、緑の線の価値だけの働きとなります。
そしてこれは白石の影響範囲に注目しましたが、4図の黒石の影響範囲にも注目してみてください。
4図は黒△の影響範囲がこのようになっていると見ることができます。
これが2図の白1と打つとどうなるでしょうか?
5図(2図の再掲)の白1によって、黒△の影響範囲を妨害しています。
アルファ碁が影響範囲に注目した次の一手を打っているとは、
・白石の影響範囲を広げて白の空間を作り出していること。
・更には、黒石の影響範囲を妨害して、黒地を限定していること。
この2つを最大化していることがポイントのようです。
多くの方は石に注目して囲碁を打たれているかもしれませんが、アルファ碁の棋譜を理解する時、石ではなく石の影響範囲。
つまり空間に注目して見るとおもしろいかもしれません。
この空間を見る打ち方を、私の造語ですが『空間視点』と呼んでいます。
これに対して石を見る打ち方を『石視点』と呼んでいます。
囲碁は『空間視点』で打つと、地が多くなりうまく打てますが、『石視点』で打つと悪い手を打っていないはずなのに、形勢は悪くなります。
そしてアルファ碁は『究極の空間視点』で囲碁を打っていると思います。
『空間視点』の考え方は、パンダネット内にある『勝間教室』の主要テーマになっていますが、ここでは少しだけご紹介したいと思います。
1図
2図
3図
1図
4図
5図