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囲碁入門指導法『寝屋川メソッド』③

『寝屋川メソッド』の具体的な進め方

『寝屋川メソッド』のポイントは

入門者であっても、

① 囲碁のゲームを成立させること

② 囲碁というゲームが分かる(10級レベルの理解度)ということ

この2つを念頭に進める指導法です。

​それでは具体的に見ていきましょう。

 

『寝屋川メソッド』では、4路盤→5路盤→6路盤と使っていきます。

4、5、6と使うことと、そこで教えることに意味があります。

4路盤を使う意味

4路盤は狭いため、すぐに石取りが始まります。

そして石取りが終わるとすぐに終局になります。

入門者が一番初めに6路盤や9路盤で対局すると

石取り以外の『ダメ』や『地』という抽象的なものが出てきて

終局までに何をしたら良いのか分からない状態が長く続きます。

しかし4路盤では『ダメ』や『地』が出てこないので

石取りルールと囲碁がすぐに結びついて

​囲碁というゲームが簡単に成立してしまうのが特徴です。

4路盤の​終局イメージです。

右図は終局どころか、ゲームが成立していない感じですが

これは囲碁を知っている人の見方です。

 

入門者には、これで終局と伝えるのが良いでしょう。

入門者はこれで納得、理解します。

 

これで終局していないという概念は、入門者のレベルが上がった時に分かるようになりますが、それはその時に教えるのが良いです。

今はこれで終局。囲碁ってこんなゲームなのか。

​ということが伝われば成功です。

因みに途中で黒は二子取られました。

白3目勝ちと教えます。

もしも、黒の方がまだ白を取れると言えば、終局ではないので

そのままゲームを続けてください。

右図の状態であっても、両者がもう取るところがないと言えば

​これで終局とするのが『寝屋川メソッド』の特徴でもあります。

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4-2.png

4路盤で黒番と白番を交代で何局か打ちますと

両者、石が取られない進行をするようになります。

また、そう教えても良いでしょう。

すると下図のように石が取られない終局になっていきます。

こうなったら4路盤は卒業です。

時間にして15分もかからないでしょう。

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5路盤を使う意味

5路盤では『地の概念』を教えます。

4路盤で『石取り』の感覚が掴めているので

5路盤では地の概念に絞って教えることができるのが特徴です。

6・9路では、石取りと地の概念以外にダメの概念が入ってきて

しかも一局の中でその時間が長く続くため

今、何をしているのか分からないという状態が発生します。

しかし5路盤ではその空白期間がほとんどないため

​入門者であっても囲碁を楽しむことができるのです。

5路盤では特殊ルールを設けます。

図のように置いてからスタートします。

一手目だけは黒はイに打ってはいけないルールにしてください。

白の二手目からは白イに打つのはOKです。

これは一手目で黒イに打つと

4路盤で石が取られないように打つことを既に知っているので

黒が常に勝つからです。

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5路盤でも黒番と白番を交代で何局か打つと

​図のような感じで終局するようになります。

 

これは囲碁が石を取ることが重要なのではなく

地を作ることが重要で、

その中に石取りのルールがたまたま発生するという

囲碁本来のゲーム性を理解できた瞬間です。

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因みに白8のあと、イは黒さんも白さんも、

どちらも打たなければそれで良しとします。

ダメ場として教えるのではなく、このまま黒地と白地を数えてください。

もちろんロは黒地として数えます。

黒地8目:白地5目 黒3目勝ちとなります。

こうして地取りの概念が分かってきたら

もう一人で囲碁を楽しめるようになっています。

もちろん、取られそうな石に気づかなかったり

タテ・ヨコを完全に囲んでいるのに

盤上から取っていなかったりしますが

その時に指摘して取り除きます。

大事なことは、必要最小限のルールだけで

囲碁というゲームを成立(させた気にさせる)ことです。

例えば、アマ高段者やプロでさえも

対局中や終局時点で、本当は地の中に手があったのに

両者気づかずに終局することってありますよね?

それとレベルは違いますがロを黒地として認識するのは同じです。

もしもイに白がきた時に取られると分かれば黒ロと打って

実戦解決しますから、それならそれで良いのです。

イのダメが詰まるとロが必要なので黒ロと打ちましょうと

わざわざややこしい説明をする必要はないのです。

囲碁は両者が楽しんでいるなら

必ずしも正しいことをしていなくても良いのです。

その人のレベルが上がるにつれて、その正しさも見えてくるので

その時に理解すれば良いのです。

 

これを、囲碁を知っている人の目線で

入門者に『正しさ』を押し付けると

囲碁は難しい・・・(おもしろくない)という感じになっていきます。

あくまで主役は教わる側です。

教わる側が楽しければ続くのです。

教える側は、正しいことを教える前に

楽しみ方を教えるのが娯楽の指導としては正解ではないでしょうか。

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